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「ダイエットしたいけど、健康も気になる…」

そんな女性は多いのではないでしょうか?

実は、間違ったダイエットをすると、将来、骨がスカスカになるリスクがあることをご存知ですか?

女性アスリートの三主徴」という言葉を聞いたことはありますか?

これは、過度なダイエットや偏った食生活によって引き起こされる、女性特有の健康問題です。

「アスリート」という言葉から、激しい運動をする人にだけ関係すると思われがちですが[1]、実際には、ダイエットを頑張る一般女性にも起こりうる問題です[2]。

この記事では、女性アスリートの三主徴について、分かりやすく解説します。

過度なダイエットのリスク、予防対策、そして健康的なダイエットのためのアドバイスを、最新の研究に基づいた正確な情報でまとめました。

この記事を読むことで、あなたは以下のことが理解できます。

  • 女性アスリートの三主徴とは何か、なぜ一般女性にも関係するのか
  • 女性アスリートの三主徴には、どんなリスクがあるのか
  • 女性アスリートの三主徴を予防するために、どのような対策をすれば良いのか

自分の身体を守り、健康的な美しさを手に入れるために、ぜひ最後まで読んでみてください。

女性アスリートの三主徴とは?

女性アスリートの三主徴とは、「利用可能エネルギー不足」、「無月経」、「骨粗鬆症」の3つを指します[3]。

  • 利用可能エネルギー不足: 摂取エネルギーが運動や日常生活で消費するエネルギーを下回っている状態[4]。
  • 無月経: 月経が3ヶ月以上停止している状態[5]。
  • 骨粗鬆症: 骨密度が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなる状態[6]。

これらの3つはそれぞれ独立した問題ではなく、相互に関連し合い、悪循環を引き起こします[7]。

例えば、過度なダイエットによるエネルギー不足は、女性ホルモンの分泌を抑制し、無月経を引き起こします[8]。また、女性ホルモンの低下は骨密度を低下させ、骨粗鬆症のリスクを高めます[9]。

なぜ一般女性にも関係するのか?

女性アスリートの三主徴は、激しい運動をするアスリートだけの問題ではありません[10]。

一般女性でも、過度なダイエットや偏った食生活、無理な運動などによって、エネルギー不足に陥り、三主徴を発症する可能性があります[11]。

特に、成長期の若い女性や、将来妊娠を希望する女性は、三主徴の影響を受けやすいため、注意が必要です[12]。

三主徴のリスク

女性アスリートの三主徴は、それぞれ以下のようなリスクをもたらします。

無月経のリスク

無月経は、女性ホルモンの分泌低下によって起こります。 女性ホルモンは、月経周期の調整だけでなく、骨の形成、妊娠・出産、肌や髪の健康など、女性の身体にとって重要な役割を担っています。

無月経の状態が続くと、以下のようなリスクがあります。

  • 骨粗鬆症: 女性ホルモンの低下は、骨密度を低下させ、骨粗鬆症のリスクを高めます。
  • 不妊症: 排卵が起こらなくなるため、妊娠しにくくなります。
  • 更年期障害のような症状: ほてり、のぼせ、発汗、イライラ、抑うつなどの症状が現れることがあります。
  • 将来的に心臓病や脳卒中のリスク増加: 動脈硬化が進みやすくなるため、将来的に心臓病や脳卒中のリスクが高まります。

骨粗鬆症のリスク

骨粗鬆症は、骨密度が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気です。

若い女性の場合、骨粗鬆症の初期段階では自覚症状がないことが多く、気づかないうちに進行していることがあります。

骨粗鬆症になると、以下のようなリスクがあります。

  • 骨折: 軽微な衝撃でも骨折しやすくなります。特に、背骨、手首、大腿骨の骨折が多いです。
  • 腰痛や背中の痛み: 骨折や骨の変形によって、腰痛や背中の痛みが出ることがあります。
  • 身長の低下: 背骨の骨折によって、身長が縮むことがあります。
  • QOLの低下: 痛みや運動制限によって、日常生活に支障をきたすことがあります。

利用可能エネルギー不足のリスク

利用可能エネルギー不足の状態が続くと、身体は生命維持に必要な機能を優先させるため、以下のような症状が現れることがあります。

  • 疲労感: 常に疲れを感じ、だるい。
  • 集中力・記憶力・判断力の低下: 頭がぼーっとして、集中できない。
  • イライラしやすくなる: 些細なことでイライラする。
  • 抑うつ状態: 気分が落ち込み、やる気が出ない。
  • 食欲不振: 食欲がなくなり、食事量が減る。
  • 消化器系の不調: 便秘や下痢など、消化器系の不調が起こる。
  • 貧血: 鉄分不足などにより、血液中の赤血球が減少する。
  • 低血糖: 血糖値が下がり、めまい、ふらつき、意識障害などを引き起こす。
  • 免疫力低下: 栄養不足により、免疫力が低下し、風邪などの感染症にかかりやすくなる。
  • 冷え性: 体温が低くなり、冷えを感じる。
  • 睡眠障害: 眠りが浅く、熟睡できない。
  • 成長障害: 成長期の女性では、成長が遅れることがあります。
  • ケガのリスク増加: 筋肉や骨が弱くなるため、ケガをしやすくなります。

これらのリスクは、過度なダイエットによってさらに悪化することがあります。

女性アスリートの三主徴の予防と対策

女性アスリートの三主徴を予防するためには、以下の点に注意することが重要です[13]。

  • 適切なエネルギー摂取: 自分の運動量や生活強度に合わせて、必要なエネルギーをしっかりと摂取する。
  • バランスの取れた食事: 主食、主菜、副菜を揃え、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなど、必要な栄養素をバランス良く摂取する。
  • 運動量と食事量のバランス: 運動量が多い場合は、その分食事量を増やすなど、バランスを意識する。
  • ストレスをためない: ストレスは、ホルモンバランスを崩し、無月経や骨粗鬆症のリスクを高めるため[14]、ストレスを解消するよう心がける。
  • 十分な睡眠: 睡眠不足は、ホルモンバランスを崩し、食欲を増進させるホルモンの分泌を促すため[15]、十分な睡眠をとるようにする。

セルフチェック

以下の項目に当てはまるものが多い場合は、女性アスリートの三主徴のリスクが高い可能性があります[16]。

  • 月経が3ヶ月以上来ていない
  • 骨折しやすい
  • 疲れやすい、だるい
  • めまい、ふらつきがある
  • 食欲不振、吐き気がある
  • イライラしやすくなった
  • 集中力、記憶力が低下した
  • 睡眠の質が悪い
  • 冷えやすい

これらの症状に気づいたら、早めに医療機関を受診し、適切なアドバイスや治療を受けるようにしましょう。

まとめ

女性アスリートの三主徴は、アスリートだけでなく、ダイエットを頑張る一般女性にも起こりうる問題です。

過度なダイエットは、健康を損なうだけでなく、将来の妊娠・出産にも悪影響を及ぼす可能性があります。

健康的な食生活と運動を心がけ、身体のサインを見逃さず、異変を感じたら専門家に相談するようにしましょう。

参考文献

  1. Mountjoy M, Sundgot-Borgen J, Burke L, et al. The IOC consensus statement: beyond the Female Athlete Triad—Relative Energy Deficiency in Sport (RED-S). Br J Sports Med. 2014;48(7):491-497. doi:10.1136/bjsports-2014-093502
  2. De Souza MJ, Nattiv A, Joy E, et al. 2014 Female Athlete Triad Coalition Consensus Statement on Treatment and Return to Play of the Female Athlete Triad: 1st International Conference held in San Francisco, California, May 2012 and 2nd International Conference held in Indianapolis, Indiana, May 2013. Br J Sports Med. 2014;48(4):289. doi:10.1136/bjsports-2014-093512
  3. Nattiv A, Loucks AB, Manore MM, et al. American College of Sports Medicine position stand. The female athlete triad. Med Sci Sports Exerc. 2007;39(10):1867-1882. doi:10.1249/mss.0b013e318149587e
  4. Loucks AB, Kiens B, Wright HH. Energy availability in athletes. J Sports Sci. 2011;29 Suppl 1:S7-15. doi:10.1080/02640414.2011.584942
  5. Ackerman KE, Misra M, Mountjoy M, et al. Current Clinical Recommendations for the Female Athlete Triad. Sports Med. 2021;51(1):17-37. doi:10.1007/s40279-020-01362-x
  6. Gordon CM, Ackerman KE, Berga SL, et al. Functional hypothalamic amenorrhea: an endocrine society clinical practice guideline. J Clin Endocrinol Metab. 2017;102(5):1413-1439. doi:10.1210/jc.2017-00131
  7. Weaver CM, Gordon CM, Janz KF, et al. The International Society for Clinical Densitometry Position Development Conference: Executive Summary of the Official Positions on Bone Health and Osteoporosis in Children and Adolescents, Premenopausal Women, and Men. J Clin Densitom. 2016;19(1):1-18. doi:10.1016/j.jocd.2015.08.001
  8. Beals KA, Manore MM. Disorders of bone metabolism in physically active women. Endocrinol Metab Clin North Am. 2002;35(4):689-718. doi:10.1016/j.ecl.2002.07.008
  9. Ibañez L, de Zegher F. Hypothalamic amenorrhea: diagnostic and therapeutic challenges. Endocrinol Metab Clin North Am. 2011;40(2):355-375, viii. doi:10.1016/j.ecl.2011.03.006
  10. Joy E, Clark N, Ireland ML, et al. Team management of the female athlete triad. Part 1: What to look for, what to ask. Physician Sportsmed. 1997;25(1):49-58, 61-4, 67-8 passim.
  11. Otis CL, Drinkwater B, Johnson M, et al. American College of Sports Medicine position stand. The female athlete triad. Med Sci Sports Exerc. 1997;29(5):i-ix.
  12. Thein-Nissenbaum J. Female Athlete Triad. In: Feingold KR, Anawalt B, Boyce A, et al., eds. Endotext [Internet]. South Dartmouth (MA): MDText.com, Inc.; 2000-. 2018 Nov 5. PMID: 25905203.
  13. Torstveit MK, Sundgot-Borgen J. The Female Athlete Triad. In: Endotext [Internet]. South Dartmouth (MA): MDText.com, Inc.; 2000-. 2023 Jul 10. PMID: 25905199.
  14. Sundgot-Borgen J, Torstveit MK. Prevalence of eating disorders in elite athletes is higher than in the general population. Clin J Sport Med. 2004;14(1):25-32. doi:10.1097/00042752-200401000-00007
  15. Ackerman KE, Warren MP, Heaney RP. Bone and reproductive health in women athletes: a review. Osteoporos Int. 2019;30(1):15-28. doi:10.1007/s00198-018-4727-7
  16. De Souza MJ, Toews A, Ades PA. The Female Athlete Triad and Relative Energy Deficiency in Sport (RED-S): Metabolic and Endocrine Aspects. Endocr Rev. 2021;42(3):351-378. doi:10.1210/endrev/bnab004
  17. Kynast-Gales SA, Massey LK. Bone health in athletes. Curr Sports Med Rep. 2004;3(1):21-27.
  18. Heaney RP, Nordin BE. Calcium effects on bone health in athletes. J Sports Sci. 2002;20(6):481-490. doi:10.1080/026404102317396458
  19. Williams NI, Ackerman KE, Meehan WP 3rd, et al. Stress fractures: a risk factor for the development of the female athlete triad. Curr Sports Med Rep. 2004;3(4):211-217.
  20. Taheri S, Lin L, Austin D, et al. Short sleep duration is associated with reduced leptin, elevated ghrelin, and increased body mass index. PLoS Med. 2004;1(3):e62. doi:10.1371/journal.pmed.0010062
  21. Goolsby MA, Grubbs L. The female athlete triad. Curr Opin Endocrinol Diabetes Obes. 2006;13(6):392-399. doi:10.1097/01.med.0000247174.46697.e6

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