「腸活」という言葉がすっかり定着しましたね。腸活といえば、ヨーグルトや納豆などの発酵食品を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
これらの発酵食品に含まれているのが、今回の主役「乳酸菌」です。
乳酸菌は、私たちの腸内に住む善玉菌の一種で、健康に良い影響を与えることが知られています。
でも、具体的にどんな菌で、どんな風に体に良いのか、詳しく知っている方は少ないかもしれません。
腸内フローラと健康の関係について、より詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
そこで今回は、腸活の立役者ともいえる乳酸菌について、その種類や効果、効率的な摂取方法まで、分かりやすく解説していきます。
腸内フローラと乳酸菌
私たちの腸内には、数百種類、数百兆個もの細菌が住み着いていて、「腸内フローラ」と呼ばれる複雑な生態系を形成しています[1]。
腸内フローラは、私たちの健康に深く関わっていて、消化吸収のサポート、免疫力の維持、ビタミンの合成など、様々な役割を担っています。
腸内フローラを構成する細菌は、大きく分けて「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3つに分類されます。
- 善玉菌: 健康維持に役立つ菌
- 悪玉菌: 体に悪影響を及ぼす菌
- 日和見菌: 善玉菌と悪玉菌の優勢な方に味方する菌
乳酸菌は、この中の善玉菌の代表格です。
糖を分解して乳酸を作り出すことで、腸内環境を酸性にし、悪玉菌の増殖を抑える働きがあります。
つまり、乳酸菌は、腸活において非常に重要な役割を担っていると言えるのです。
腸活の主役は色々!乳酸菌の種類と特徴を解説
乳酸菌と一口に言っても、実は多種多様な種類が存在します。
大きく分けると、
- ラクトバチルス属
- ラクトコッカス属
- エンテロコッカス属
- ストレプトコッカス属
- ペディオコッカス属
- ロイコノストック属
- ビフィドバクテリウム属
などに分類されます[2]。
今回は、この中でも特に身近で、私たちがよく口にする食品に含まれることが多い乳酸菌をピックアップしてご紹介します。
主な乳酸菌の種類と特徴
菌種 | 特徴 | 期待される効果 | 含まれる食品例 |
---|---|---|---|
ラクトバチルス・アシドフィルス | 腸内環境を整える、免疫力を高める | 便秘改善、下痢予防、風邪予防 | ヨーグルト、乳酸菌飲料 |
ラクトバチルス・ブルガリクス | ヨーグルトの製造に利用される | 免疫力向上、整腸作用 | ヨーグルト |
ラクトバチルス・カゼイ | チーズの製造に利用される | 免疫力向上、アレルギー抑制 | チーズ、ヨーグルト |
ラクトバチルス・ガセリ | 胃酸や胆汁に強い | コレステロール値低下、ピロリ菌抑制 | ヨーグルト、乳酸菌飲料 |
ラクトバチルス・ロイテリ | 口腔内に存在する | 虫歯予防、歯周病予防、口臭予防 | ヨーグルト、サプリメント |
ラクトコッカス・ラクティス | ヨーグルトやチーズの製造に利用される | 免疫力向上、アレルギー抑制 | ヨーグルト、チーズ |
ストレプトコッカス・サーモフィルス | ヨーグルトの製造に利用される | 免疫力向上 | ヨーグルト |
エンテロコッカス・フェカリス | 人の腸内に存在する | 免疫力向上、抗生物質耐性菌の抑制 | ヨーグルト、サプリメント |
乳酸菌がもたらす効果・効能
乳酸菌は、腸活のスター選手として、様々な健康効果をもたらしてくれることが期待されています。
ダイエット、美肌、免疫力アップ…
気になる効果について、詳しく見ていきましょう!
腸内環境の改善
乳酸菌は、腸内フローラのバランスを整え、腸内環境を改善するのに役立ちます[3, 4]。腸内環境が悪化すると、便秘や下痢を引き起こしやすくなるだけでなく、様々な病気のリスクを高める可能性も指摘されています。
乳酸菌は、腸内で乳酸を作り出すことで、腸内を酸性にし、悪玉菌の増殖を抑えます。また、腸のぜん動運動を促進することで、便通を改善し、便秘の解消にも効果が期待できます[3]。さらに、乳酸菌は、腸管バリア機能を高める働きもあります。腸管バリア機能とは、腸壁が外部からの異物の侵入を防ぐ機能のこと[4]。この機能が低下すると、アレルギーや炎症を引き起こしやすくなりますが、乳酸菌が腸管バリア機能を強化することで、これらのリスクを軽減する効果も期待できるのです[4]。
免疫力アップ
乳酸菌は、免疫細胞を活性化し、免疫力を高める効果も期待されています[5]。免疫力が高まると、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりにくくなるだけでなく、アレルギー症状の抑制にも役立ちます[6]。乳酸菌は、腸管免疫系に働きかけ、免疫細胞のバランスを整えることで、免疫機能の向上に貢献するのです[5]。
ダイエット効果
乳酸菌は、ダイエットにも効果が期待できます。
腸内フローラのバランスが崩れると、肥満になりやすくなるという研究結果も報告されています。
乳酸菌は、腸内環境を整えることで、脂肪の吸収を抑えたり、代謝を促進したりする効果も期待できます。
さらに、いくつかの乳酸菌では、内臓脂肪の減少効果、脂肪の蓄積を抑制する効果、食欲を抑制する効果が期待される研究結果が報告されています。
美肌効果
「腸活は美肌への近道」
なんて言葉を聞いたことはありませんか?
実は、腸内環境と肌の状態は密接に関係していると言われています。
腸内環境が悪化すると、肌荒れやニキビなどの肌トラブルを引き起こしやすくなります。
乳酸菌は、腸内環境を整えることで、肌の調子を整え、美肌効果をもたらすことが期待されています。
具体的には、
- 腸内の炎症を抑える
- 腸管バリア機能を高める
- ビタミンB群の産生を助ける
などの作用を通して、美肌に貢献すると考えられています。
その他の効果
乳酸菌は、メンタルヘルスやコレステロール値、血圧にも良い影響を与える可能性が示唆されています[7, 8, 9]。ストレスを軽減したり、うつ病を予防したりする効果も期待されています[7]。また、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やすことで、動脈硬化や心筋梗塞などのリスクを低減する効果も期待されています[8]。さらに、血圧を下げる効果も報告されており、高血圧の予防や改善にも役立つ可能性があります[9]。
乳酸菌を効率よく摂るには?毎日の食生活に取り入れよう!
乳酸菌の素晴らしい効果を知って、「もっと摂りたい!」と思った方もいるのではないでしょうか?
乳酸菌を効率よく摂るには、どのような方法があるのでしょうか?
毎日の生活の中で、簡単に取り入れられる方法を紹介します。
発酵食品から乳酸菌を摂取しよう
乳酸菌を摂る方法として、まず思い浮かぶのは発酵食品ではないでしょうか。
ヨーグルト、チーズ、味噌、漬物…
様々な発酵食品に、たくさんの乳酸菌が含まれています。
ここでは、代表的な発酵食品と、そこに含まれる乳酸菌の種類、そして期待できる効果を紹介します。
食品 | 乳酸菌の種類 | 期待できる効果 |
---|---|---|
ヨーグルト | ラクトバチルス・ブルガリクス、ストレプトコッカス・サーモフィルス | 免疫力向上、整腸作用、ダイエット効果 |
チーズ | ラクトバチルス・カゼイ | 免疫力向上、アレルギー抑制、ダイエット効果 |
味噌 | ラクトバチルス・アシドフィルス | 免疫力を高める、美肌効果 |
漬物 | ラクトバチルス・プランタラム | 免疫力向上、抗アレルギー作用、美肌効果 |
醤油 | ラクトバチルス・アシドフィルス | 免疫力を高める、美肌効果 |
納豆 | 納豆菌 | 免疫力向上、血栓予防 |
キムチ | ラクトバチルス・プランタラム | 免疫力向上、抗アレルギー作用、ダイエット効果 |
これらの発酵食品を、バランス良く食事に取り入れるように心がけましょう。
ポイント
- 毎日継続して摂取することが大切です。
- 同じ種類の食品ばかりではなく、様々な発酵食品を食べるようにしましょう。
- 発酵食品は、加熱処理されていないものを選ぶようにしましょう。
乳酸菌サプリメントの活用
発酵食品に加えて、乳酸菌サプリメントを活用するのも良いでしょう。
乳酸菌サプリメントは、手軽に乳酸菌を摂取できる便利なアイテムです[10]。
サプリメントを選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。
- 菌種: 自分の目的に合った菌種を選びましょう。
- 菌数: 1日あたり100億個以上を目安にしましょう。
- 配合成分: オリゴ糖や食物繊維など、乳酸菌のエサとなる成分が配合されていると、より効果的です。
- 価格: 価格と品質のバランスを考え、自分に合った商品を選びましょう。
- 製造方法: 厳格な品質管理のもとで製造されているかを確認しましょう。
まとめ|乳酸菌で健康的な毎日を!
今回は、腸活に欠かせない乳酸菌について解説しました。
乳酸菌は、腸内環境を整え、便秘や下痢の改善、免疫力アップなど、様々な健康効果をもたらす善玉菌です。
乳酸菌を効率よく摂るには、ヨーグルトなどの乳酸菌を含む発酵食品や、乳酸菌サプリメントを積極的に活用しましょう。
毎日の食生活を見直し、腸活を始めてみませんか?
この記事が、あなたの健康的な毎日をサポートできれば幸いです。
- 参考文献