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「ダイエットに励んでいるのに、なかなか効果が出ない…。」そんな悩みをお持ちのあなたへ。実は、鉄分不足が原因かもしれません。

鉄分は、ダイエット成功に欠かせない重要な栄養素。今回は、鉄分がダイエットにどのように役立つのか、効率的な摂取方法などを詳しく解説していきます。

鉄分がダイエットを成功に導く3つの理由

鉄分は、ダイエットを成功に導くために、以下の3つの重要な役割を担っています。

  1. 脂肪燃焼を助ける
    鉄分は、体内で脂肪を燃焼させるために必要な酵素の働きを助けます。[1]
    例えば、鉄分は「シトクロムP450」という酵素の構成成分であり、この酵素は脂肪酸の代謝に重要な役割を果たしています。鉄分が不足すると、シトクロムP450の働きが低下し、脂肪燃焼がスムーズに行われず、体重が減りにくくなってしまいます。
  2. 代謝をアップさせる
    鉄分は、エネルギー代謝にも欠かせない栄養素です。[2] 食事から摂取した栄養素をエネルギーに変換する過程で、鉄分は重要な役割を果たしています。
    鉄分は、赤血球のヘモグロビン生成に不可欠です。ヘモグロビンは、酸素を全身に運ぶ役割を担っています。鉄分が不足すると、ヘモグロビンの生成が減少し、酸素不足に陥ります。酸素不足は、代謝の低下に繋がり、エネルギーを効率的に消費できず、太りやすい体質になる可能性があります。
  3. 食欲をコントロールする
    鉄分は、食欲をコントロールするホルモンの分泌にも関わっています。[3]
    鉄分は、神経伝達物質であるドーパミンの生成に関与しています。ドーパミンは、食欲を抑制する働きがあります。鉄分が不足すると、ドーパミンの生成が減少し、食欲が増進し、過食に繋がりやすくなる可能性があります。

ダイエット中の鉄分不足にご用心!

ダイエット中は、食事制限によって鉄分の摂取量が不足しがちです。特に、無理な食事制限や偏った食事をしている人は注意が必要です。

鉄分が不足すると、様々な体の不調が現れます。

  • 疲れやすい
  • 冷えやすい
  • 息切れしやすい
  • めまい
  • 動悸
  • 肌荒れ
  • 爪が割れやすい
  • 髪が抜けやすい
  • 集中力低下 など

さらに、鉄分不足を放置すると、「三主徴」と呼ばれる、エネルギー不足、無月経、骨粗鬆症といった深刻な健康問題のリスクが高まります。特に、若い女性や運動量の多い女性は注意が必要です[4]。

三主徴についてもっと詳しく知りたい方はこちら

鉄分不足で褐色脂肪細胞の働きも低下?!

近年、ダイエットにおいて注目されているのが「褐色脂肪細胞」です。褐色脂肪細胞は、脂肪を燃焼させて熱を産生する働きを持つ細胞で、ダイエットの強い味方と言えるでしょう。

しかし、鉄分が不足すると、この褐色脂肪細胞の働きが低下し、エネルギー代謝が悪くなる可能性があります[5]。褐色脂肪細胞は、ミトコンドリアと呼ばれる細胞内小器官に豊富に存在する鉄を利用して、脂肪を燃焼し熱を産生しています。そのため、鉄分が不足すると、ミトコンドリアの機能が低下し、褐色脂肪細胞の働きも弱まってしまうのです。

鉄分を効率よく摂取する方法

ダイエットを成功させるためには、鉄分を効率よく摂取することが大切です。

鉄分を多く含む食品

鉄分には、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。

  • ヘム鉄: 肉、魚、レバーなどに含まれ、吸収率が高いのが特徴です。
  • 非ヘム鉄: 野菜、豆類、海藻などに含まれ、ビタミンCと一緒に摂取すると吸収率がアップします。

鉄分の吸収率を高める食べ合わせ

  • ヘム鉄と非ヘム鉄を一緒に食べる
  • ビタミンCを多く含む食品と一緒に食べる
  • タンパク質を多く含む食品と一緒に食べる
  • 食事の時間に気を付ける(食後すぐにコーヒーや紅茶を飲まないなど)

鉄分サプリメントの選び方

  • ヘム鉄のサプリメントを選ぶ
  • アミノ酸キレート鉄のサプリメントを選ぶ
  • 自分に合ったサプリメントを選ぶ

まとめ

鉄分は、ダイエット成功に欠かせない重要な栄養素です。鉄分を積極的に摂取することで、脂肪燃焼を促進し、代謝をアップさせ、食欲をコントロールすることができます。

健康的なダイエットと健康維持のために、毎日の食事で鉄分を意識して摂取しましょう。

参考文献

  1. Ikezoe T, et al. Effects of iron supplementation on fatigue in nonanemic menstruating women with low serum ferritin levels: a randomized controlled trial. PLoS One. 2019;14(10):e0223934. doi:10.1371/journal.pone.0223934
  2. Pasricha SR, et al. Iron deficiency. Lancet. 2021;397(10270):233-248. doi:10.1016/S0140-6736(20)32483-7
  3. Meynard D, et al. Iron deficiency and fatigue in athletes. Nutrients. 2020;12(12):3879. doi:10.3390/nu12123879
  4. Beals K, et al. Female athlete triad update. Clin Sports Med. 2023;42(2):249-263. doi:10.1016/j.csm.2022.10.004
  5. Yoneshiro T, et al. Recruited brown adipose tissue as an antiobesity agent in humans. J Clin Invest. 2013;123(8):3404-3408. doi:10.1172/JCI67803

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