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「フィトケミカル」って聞いたことはありますか? これは、野菜や果物などに含まれる、健康や美容に良い影響を与える成分のことで、最近では、アンチエイジングや美肌効果、ダイエット効果など、様々な効果が期待できるとして注目が集まっています。

この記事では、フィトケミカルの種類や効果、効率的な摂取方法などを分かりやすく解説していきます。 毎日の食生活にフィトケミカルを取り入れて、内側から輝く美しさを手に入れましょう!

フィトケミカルって一体何?

フィトケミカルとは、植物に含まれる化学物質の総称です。 ギリシャ語で「植物」を意味する「phyto」と、「化学物質」を意味する「chemical」を組み合わせた言葉です。[1]

野菜や果物の鮮やかな色や香り、独特の苦味や辛味などは、フィトケミカルによるものです。 これらの成分は、植物自身が紫外線や害虫から身を守るために作り出しているもので、私たち人間が摂取すると、様々な健康効果が期待できることが分かってきました。[2]

あなたを輝かせる!フィトケミカルの種類と効果

フィトケミカルは、その構造や機能によって、大きく5つの種類に分けられます。

  • ポリフェノール
  • カロテノイド
  • イオウ化合物
  • テルペノイド
  • 植物性アルカロイド

それぞれの種類について、詳しく見ていきましょう。

ポリフェノール

ポリフェノールは、植物に広く含まれる、抗酸化作用を持つ成分です。 赤ワインに含まれるレスベラトロールや、緑茶に含まれるカテキン、ブルーベリーに含まれるアントシアニン、ウコンに含まれるクルクミンなどが有名です。[3]

ポリフェノールは、活性酸素による細胞の酸化ダメージを抑制することで、老化防止、生活習慣病予防、美肌効果などが期待できます。 また、腸内フローラのバランスを整えることで、免疫力向上、肥満予防、精神安定作用などの効果も期待できます。[3, 4]

  • シミ、シワの予防: 抗酸化作用により、肌の老化を防ぎ、シミやしわの発生を抑えます。
  • 美肌効果: コラーゲンの生成を促進し、肌にハリと弾力を与えます。
  • 腸内環境改善: 腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えます。
  • 生活習慣病予防: 血糖値や血圧を下げ、動脈硬化や心筋梗塞などのリスクを減らします。
  • ストレス軽減: 精神安定作用があり、ストレスを軽減する効果も期待できます。

カロテノイド

カロテノイドは、トマトのリコピンや、ニンジンのβ-カロテンなど、鮮やかな赤色やオレンジ色の色素成分です。[5]

カロテノイドは、体内でビタミンAに変換されるものもあり、視力維持、免疫力向上、抗酸化作用、抗がん作用などが期待できます。 特に、肺がん、前立腺がん、乳がんなどに対する予防効果が期待されています。[6]

  • 視力維持: ビタミンAに変換され、視力維持に役立ちます。
  • 免疫力向上: 免疫細胞の働きを活性化し、免疫力を高めます。
  • がん予防: 強い抗酸化作用で、がん細胞の発生や増殖を抑える効果も期待できます。
  • 美肌効果: 皮膚や粘膜の健康を維持し、美肌に導きます。
  • アンチエイジング: 抗酸化作用により、体の老化を防ぎます。

イオウ化合物

イオウ化合物は、ネギやニンニクに含まれるアリシンや、ブロッコリーに含まれるスルフォラファンなど、独特の香りの成分です。[7]

イオウ化合物は、抗酸化作用、解毒作用、抗がん作用、免疫力向上効果、抗炎症作用などが期待できます。 慢性炎症は、様々な疾患のリスクを高めることが知られており、イオウ化合物を摂取することで、炎症を抑え、健康を維持できる可能性があります。[8]

  • 解毒作用: 体内の有害物質を排出する働きがあります。
  • 抗がん作用: がん細胞の発生や増殖を抑える効果も期待できます。
  • 免疫力向上: 免疫細胞の働きを活性化し、免疫力を高めます。
  • 抗炎症作用: 慢性炎症を抑え、様々な病気の予防に役立ちます。
  • 風邪予防: 免疫力を高めることで、風邪などの感染症を予防します。

テルペノイド

テルペノイドは、柑橘類に含まれるリモネンや、ハーブに含まれるメントールなど、香り成分として知られています。[9]

テルペノイドは、抗菌作用、抗炎症作用、リラックス効果、血行促進効果などが期待できます。[10]

  • リラックス効果: ストレスを和らげ、リラックス効果をもたらします。
  • 血行促進効果: 血行を促進し、冷え性改善などに役立ちます。
  • 抗菌作用: 細菌の増殖を抑え、感染症予防に役立ちます。
  • 抗炎症作用: 炎症を抑え、様々な病気の予防に役立ちます。
  • 消化促進: 消化を促進し、胃腸の働きを整えます。

植物性アルカロイド

植物性アルカロイドは、コーヒーに含まれるカフェインや、唐辛子に含まれるカプサイシンなど、苦味や辛味を持つ成分です。[11]

植物性アルカロイドは、覚醒作用、脂肪燃焼効果、食欲抑制効果、血行促進効果などが期待できます。[12]

  • 脂肪燃焼効果: 脂肪を燃焼しやすくし、ダイエット効果が期待できます。
  • 食欲抑制効果: 食欲を抑え、食べ過ぎを防ぎます。
  • 血行促進効果: 血行を促進し、冷え性改善などに役立ちます。
  • 覚醒作用: 眠気を覚まし、集中力を高めます。
  • 疲労回復: 疲労物質の分解を促進し、疲労回復を助けます。

どの食材に多く含まれているの?フィトケミカルを多く含む食品

フィトケミカルを効率よく摂取するには、様々な種類の食品を食べるように心がけましょう。

  • 野菜: トマト、ニンジン、ブロッコリー、ほうれん草、パプリカなど
  • 果物: ブルーベリー、イチゴ、オレンジ、リンゴ、ブドウなど
  • ハーブ: バジル、ミント、パセリ、タイムなど
  • スパイス: ターメリック、生姜、シナモン、クローブなど
  • 豆類: 大豆、小豆、レンズ豆など
  • 穀類: 玄米、大麦、オートミールなど

これらの食品をバランス良く摂取することで、様々なフィトケミカルを効率的に摂取することができます。

効率的な摂取方法で、もっと健康に、もっと美しく!

フィトケミカルを効率良く摂取するには、以下のポイントを意識しましょう。

  1. 食事からの摂取を基本とする
    フィトケミカルは、サプリメントよりも食品から摂取する方が、吸収率が高く、より効果的に作用します。
  2. 様々な色の食品をバランス良く食べる
    フィトケミカルの種類によって、含まれる食品の色が異なります。 赤、黄、緑、紫など、様々な色の食品をバランス良く食べることで、様々な種類のフィトケミカルを摂取することができます。
  3. 旬のものを食べる
    旬のものは、栄養価が高く、フィトケミカルも豊富に含まれています。
  4. 皮や種も活用する
    皮や種には、フィトケミカルが豊富に含まれていることが多いです。 捨てずに活用しましょう。
  5. 調理方法を工夫する フィトケミカルの中には、熱に弱いものもあります。 生食したり、蒸したり、炒めたりするなど、調理方法を工夫しましょう。
  6. サプリメントは補助的に利用する サプリメントは、あくまで補助的なものとして考えて、食事からの摂取を基本としましょう。

気になる疑問を解決!フィトケミカルに関するよくある質問

Q
フィトケミカルは、どのくらい摂取すればいいですか?
A

フィトケミカルの摂取量に明確な基準はありませんが、1日に30種類以上のフィトケミカルを摂取することが理想とされています。[17] 様々な種類の野菜や果物を、バランス良く食べることが大切です。

Q
フィトケミカルを摂取する上での注意点はありますか?
A

フィトケミカルは、過剰に摂取すると、かえって体に悪影響を及ぼす可能性もあります。 バランスの取れた食生活を心がけ、特定の食品に偏らないようにしましょう。

Q
フィトケミカルは、サプリメントで摂取しても効果がありますか?
A

サプリメントで摂取しても、ある程度の効果は期待できますが、食品から摂取する方が、吸収率が高く、より効果的に作用します。 サプリメントは、あくまで補助的なものとして考えて、食事からの摂取を基本としましょう。

最後に

フィトケミカルは、私たちの健康と美容に欠かせない成分です。 毎日の食生活に、野菜、果物、ハーブ、スパイスなどを積極的に取り入れて、フィトケミカルのパワーを活かしましょう!

参考文献リスト

  1. Bourgaud F, Gravot A, Milesi S, Gontier E. Production of plant secondary metabolites: a historical perspective. Plant Sci. 2001 Nov;161(5):839-851. DOI: 10.1016/S0168-9452(01)00490-3
  2. Liu RH. Health benefits of fruit and vegetables are from additive and synergistic combinations of phytochemicals. Am J Clin Nutr. 2003 Sep;78(3 Suppl):517S-520S. DOI: 10.1093/ajcn/78.3.517S
  3. Singh AK, Cabral C, Kumar R, Ganguly R, Kumar A, Rana HK, et al. Beneficial Effects of Dietary Polyphenols on Gut Microbiota and Strategies to Improve Delivery Efficiency. Nutrients. 2020 Jan 28;12(2):323. DOI: 10.3390/nu12020323
  4. Cory H, Passarelli S, Szeto J, Tamez M, Mattei J. The Role of Polyphenols in Human Health and Food Systems: A Mini-Review. Front Nutr. 2018 Oct 1;5:87. DOI: 10.3389/fnut.2018.00087
  5. Britton G. Structure and properties of carotenoids in relation to function. FASEB J. 1995 Nov;9(15):1551-1560. DOI: 10.1096/fasebj.9.15.1551
  6. Fiedor J, Burda K. Potential role of carotenoids as antioxidants in human health and disease. Nutrients. 2014 Feb 4;6(2):466-488. DOI: 10.3390/nu6020466
  7. Block E. The organosulfur chemistry of the genus Allium–implications for the organic chemistry of sulfur. Angew Chem Int Ed Engl. 1992 Sep;31(9):1135-1178. DOI: 10.1002/anie.199211351
  8. Taleb H. Sulfur-containing compounds and their role in the immune response. Crit Rev Immunol. 2019;39(1):1-21. DOI: 10.1615/CritRevImmunol.2019028476
  9. Gershenzon J, Dudareva N. The function of terpene natural products in the natural world. Nat Chem Biol. 2007 Jul;3(7):408-414. DOI: 10.1038/nchembio.2007.5
  10. Sharifi-Rad M, Sureda A, Tenore GC, Daglia M, Sharifi-Rad J, Valussi M, et al. Biological activities of essential oils: from plant chemoecology to traditional healing systems. Molecules. 2017 Jan 6;22(1):70. DOI: 10.3390/molecules22010070
  11. Ziegler J, Facchini PJ. Alkaloid biosynthesis: metabolism and trafficking. Annu Rev Plant Biol. 2008;59:735-769. DOI: 10.1146/annurev.arplant.59.032607.092730
  12. Kawada T, Watanabe T, Takaishi T, Tanaka T, Iwai K. Capsaicin-induced beta-adrenergic action on energy metabolism in rats: influence of capsaicin on oxygen consumption, the respiratory quotient, and substrate utilization. Proc Soc Exp Biol Med. 1986 Nov;183(2):250-256.
  13. Furukawa S, Fujita T, Shimabukuro M, Iwaki M, Yamada Y, Nakajima Y, et al. Increased oxidative stress in obesity and its impact on metabolic syndrome. J Clin Invest. 2004 Dec;114(12):1752-1761. DOI: 10.1172/JCI21625
  14. Vincent HK, Taylor AG. Biomarkers and potential mechanisms of obesity-induced oxidant stress in humans. Int J Obes (Lond). 2006 Mar;30(3):400-418. DOI: 10.1038/sj.ijo.0803175
  15. Bose M, Lambert JD, Ju J, Reuhl KR, Shapses SA, Yang CS. The major green tea polyphenol, (-)-epigallocatechin-3-gallate, inhibits obesity, metabolic syndrome, and fatty liver disease in high-fat-fed mice. J Nutr. 2008 Sep;138(9):1677-1683. DOI: 10.1093/jn/138.9.1677
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  17. Wang H, Nair MG, Strasburg GM, Chang YC, Booren AM, Gray JI, et al. Antioxidant and antiinflammatory activities of anthocyanins and their aglycon, cyanidin, from tart cherries. J Nat Prod. 1999 Mar;62(3):294-6. DOI: 10.1021/np980406n
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