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秋の味覚「さんま」の栄養がすごい!EPA・DHAの効果と美容へのメリットを科学的に解説【食べ方の疑問も解決】

秋の訪れを感じさせる食材「さんま」。脂がのった旬のさんまは、EPA・DHA、ビタミンD、ビタミンB12、良質なたんぱく質などを豊富に含む、栄養バランスに優れた青魚です[1–4]。本ガイドでは、日本の公的データベースや査読論文のみを根拠に、健康・美容への科学的に確立した効果と、安全で賢い食べ方をわかりやすく解説します。

さんまの栄養、ココがすごい! 2大注目成分「EPA/DHA」と「ビタミンD」

【効果①】EPA・DHA:血液サラサラ・脳の健康をサポート

  • 含有量(さんま100g):生=EPA 1.5 g/DHA 2.2 g[2]、焼き=EPA 1.3 g/DHA 2.0 g[4]、缶・味付=EPA 1.0 g/DHA 1.7 g、缶・かば焼=EPA 0.7 g/DHA 1.2 g[5, 6]。
  • はたらき(要点):中性脂肪(トリグリセリド)を低下。心血管イベント・死亡はわずかに低下(効果は小さい)[11]。日本のJELISではEPA 1,800 mg/日追加で主要冠動脈イベント19%低下[12](オープンラベル、日本人対象)。
  • 調理でのポイント:主な損失は物理的流出焼き>揚げで保持率が高く、焼きで80%以上保持・揚げで約40–50%喪失の傾向。流出脂や焼き汁も一緒に活用すると無駄が少ない[13]。

【効果②】ビタミンD:骨の健康と免疫機能に関与

  • さんま(生)100gでビタミンD 16.0 µg、焼きでも13.0 µgと高含有[1, 3]。
  • 役割:カルシウム吸収促進や骨代謝の調整、免疫機能への関与が整理されています(日本人の食事摂取基準2025年版:脂溶性ビタミン章)[7]。※年齢・性別で**目安量(AI)**が異なります。詳細値は出典原表をご確認ください[7]。

【効果③】たんぱく質:筋肉・皮膚・髪の材料

  • さんま(生)100gでたんぱく質18.1 g、焼きでは23.3 gと良質なたんぱく源[1, 3]。
  • 「食事摂取基準 2025」たんぱく質章では、健康維持に必要なたんぱく質の推奨量・目安量が年齢・性別で示されています。具体値は原表を参照してください[9]。

100gあたりの主な栄養素(公的データ)

形態エネルギーたんぱく質脂質EPADHAビタミンDビタミンB12カルシウム
生(皮つき・可食部)287 kcal18.1 g25.6 g1500 mg2200 mg16.0 µg16.0 µg28 mg
焼き(皮つき・可食部)281 kcal23.3 g22.8 g1300 mg2000 mg13.0 µg16.0 µg37 mg
缶詰・味付(骨まで食可)259 kcal18.9 g18.9 g1000 mg1700 mg13.0 µg12.0 µg280 mg
缶詰・かば焼(骨まで食可)219 kcal17.4 g13.0 g700 mg1200 mg12.0 µg12.0 µg250 mg

出典:日本食品標準成分データベース(さんま各種)[1–6]。※EPA/DHAは脂肪酸表の値

ポイント:缶詰は骨まで食べられるためカルシウムが生や焼きより多いのが特徴です(味付:280 mg、かば焼:250 mg/100g)[5, 6]。塩分の注意:食塩相当量の目安は味付 1.4 g/100g、かば焼 1.5 g/100g。汁ごと活用する際は塩分量も加味を[5, 6]。

【ポイント】この表からわかること

  • ビタミンD・B12:生・焼きともに100gで成人のAIを超過(100%以上)。
  • EPA/DHA:いずれの形態でも豊富。健康メリットは中性脂肪低下が確実で、心血管イベント低下は小さいことに留意[11, 12]。
  • カルシウム缶詰(骨まで食可)は生・焼きの約10倍で、効率よく摂れます。

凡例:AI=目安量、RDA=推奨量、UL=耐容上限量、総n‑3=ALA+EPA+DHAの合計。

対象:成人の代表値。年齢・性別で基準が異なる栄養素は表内に注記。可食部100gあたりの公的成分値を使用。

さんま100gで各基準の何%を満たせるか(早見表)

基準(成人・指標:AI/RDA/UL)さんま(生)100gさんま(焼き)100gさんま缶・味付100gさんま缶・かば焼100g
ビタミンD(AI 9 µg/日)16.0 µg → 178%13.0 µg → 144%13.0 µg → 144%12.0 µg → 133%
ビタミンB12(AI 4.0 µg/日)16.0 µg → 400%16.0 µg → 400%12.0 µg → 300%12.0 µg → 300%
n‑3系脂肪酸(AI:男2.2 g/女1.7 g/日・18–49歳)総n‑3 = 5.59 g → 男254%/女329%4.95 g → 男225%/女291%4.16 g → 男189%/女245%2.67 g → 男121%/女157%
たんぱく質(RDA=体重×0.8 g/日;例:60 kg→48 g)18.1 g → 38%(60 kg想定)23.3 g → 49%18.9 g → 39%17.4 g → 36%
カルシウム(RDA:男800 mg/女700 mg/日(30–74歳))28 mg → 男3%/女4%37 mg → 男5%/女5%280 mg → 男35%/女40%250 mg → 男31%/女36%

100g(可食部)の目安:MEXT「さんま/焼き(皮つき)」の廃棄率35%(=可食部65%)から、100 gの可食部 ≒ 丸ごと約150 g(=100/0.65)と逆算できます。実際はサイズ・季節で変動します[3]。

注と出典

  • 成分値:日本食品標準成分表(八訂)増補2023【品目No.10173(生・皮つき)/10174(焼き・皮つき)/10177(缶・味付)/10178(缶・かば焼)】。
  • 基準値:日本人の食事摂取基準(2025年版)。ビタミンD・B12=AI(目安量)、n‑3系脂肪酸=AI(目安量;総n‑3=ALA+EPA+DHAの合計)、たんぱく質=RDA(推奨量;体重当たり)、カルシウム=RDA(推奨量)
  • n‑3のAIは年齢で微差があります(例:男50–64歳=2.3 g、女50–64歳=1.9 g)。
  • たんぱく質は体重に比例します。例:体重50/60/70 kgのRDAは40/48/56 g。表の%は60 kg例で試算。
  • 缶詰「味付」は食塩相当量 1.4 g/100g。汁ごと利用時は塩分摂取に留意。

さんまは美容の味方? 肌や髪への嬉しい効果

  • :EPA/DHAの抗炎症性は、赤み・ほてりなど炎症性の肌悩みを理論的に緩和しうる一方、臨床試験の結果は一貫せず、対象や用量によって差があります。**「バランスの良い食事が前提」**で活用を検討しましょう[18, 11]。
  • 髪・爪:十分なたんぱく質とビタミンB群(特にB12)は細胞増殖に関与し、健やかな毛髪・爪の材料となります(食事摂取基準:水溶性ビタミン章・たんぱく質章)[9, 8]。

コラム:食で“即・美肌”はありません。睡眠・日焼け対策・ストレス管理と合わせて長期の生活習慣で整えるのが現実的です。


さんまの「食べ方」疑問を解決! カロリー・部位・調理法Q&A(FAQ)

Q1. カロリーは高い? 太らない?

A1. 生100gで287 kcal、焼き100gで281 kcalと、脂質が多いぶん高エネルギーです[1, 3]。ただし脂質の多くは**不飽和脂肪酸(n‑3系)**で、量を調整すれば体重管理と両立可能です。

1尾=何gの目安? さんまの可食部(食べられる部分)の割合は約65%(=廃棄率35%)です[3]。丸ごと1尾が150 gの場合、可食部は約100 g(150×0.65)に相当。つまり1尾(可食部100 g)だと、カロリーは約280 kcal、脂質は約23 gです[3]。

実践ポイント:主食量や他の食事の脂質(揚げ物・菓子など)で1日トータルを調整しましょう。n‑3のメリット(中性脂肪低下)も踏まえ、週に数回を目安に取り入れるのが現実的です。

Q2. 骨や内臓(はらわた)は食べた方がいい?

  • :カルシウム摂取には缶詰(骨まで食べられる)が有利。水煮に限らず味付・かば焼でも250–280 mg/100gと増加します[5, 6]。
  • 内臓:さんま内臓の詳細な公的栄養値は未確認(2025年10月時点)。一般に魚の内臓は脂溶性ビタミンを多く含む場合がありますが、苦味やプリン体も含みます。痛風・高尿酸血症の方は**総プリン体摂取**に留意を[14]。

Q3. 缶詰でも栄養は摂れる?

  • はい。缶詰は骨ごと食べられるため、カルシウムが250–280 mg/100gと増えます(味付・かば焼)。
  • EPA/DHAの保持は製法に依存しますが、損失の主因は“物理的流出”(調理汁・油へ)。汁ごと活用は有効ですが、食塩相当量(味付1.4 g/100g、かば焼1.5 g/100g)にも配慮しましょう[5, 6, 13]。

Q4. 毎日食べても大丈夫? 食べ過ぎのデメリットは?

  • 青魚の健康メリットは確かですが、カロリー過多や特定成分の過剰摂取は避けたいところ。週に数回、他の魚・大豆・肉・卵などとローテーションを組むのが実用的です(脂質・ビタミン・たんぱく質の基準は「食事摂取基準2025」を参照)[7, 9, 10]。
  • プリン体:内臓や魚卵・白子などはプリン体が多い食品があり、高尿酸血症・痛風では総量管理が推奨されます[14]。

Q5. 焼くとEPA/DHAは減る? 上手な食べ方は?

EPA/DHAを逃さない!賢い調理のコツ:

  • 「揚げる」より「焼く」: 研究によれば、さんまを揚げる(ディープフライ)とEPA/DHAの約40–50%が失われる一方、グリル(焼き)では80%以上が保持されます[13]。調理法は焼きが最適です。
  • 脂を逃がさない: ホイル焼きや、フライパンにクッキングシートを敷いて焼くことで、流れ出る脂(EPA/DHAを含む)の損失を最小限にできます。
  • 脂も一緒に食べる: 流れ出た脂や焼き汁には栄養が溶け込んでいます。大根おろしポン酢すだちなどと和えて、脂ごと食べるのが効率的です。

安全にさんまを楽しむための注意点(アニサキス対策)

  • 生食のリスク:アニサキス幼虫による食中毒事例が継続しています。
  • 予防加熱(70℃以上、または60℃で1分)、または**冷凍(−20℃で24時間以上)**が有効。新鮮なうちに内臓を取り除き内臓の生食は避けることが重要です[15, 16]。

(参考)成人の基準値(日本人の食事摂取基準2025)

  • ビタミンD:AI 9.0 µg/日、UL 100 µg/日[7]
  • n‑3系脂肪酸(総n‑3):AI 男性18–49歳 2.2 g/50–64歳 2.3 g、女性18–49歳 1.7 g/50–64歳 1.9 g。EPA/DHAの個別推奨量は設定なし[10]
  • たんぱく質:RDA 0.8 g/kg体重/日(例:60 kg→48 g/日)[9]
  • ビタミンB12:AI 4.0 µg/日(UL設定なし)[8]
  • カルシウム:RDA 男性800 mg/日、女性700 mg/日(30–74歳)(18–29歳と75歳以上は650 mg/日)[19]

まとめ:秋の恵み「さんま」を賢く食卓に取り入れよう

さんまはEPA/DHA、ビタミンD、ビタミンB12、良質なたんぱく質の宝庫で、心血管や骨の健康を科学的根拠で支えます[1–4, 7, 11–12]。一方で「魔法の食品」ではありません。バランスの良い食事の一部として、週に数回を目安に、焼き中心+“流出脂を無駄にしない”工夫や缶詰の骨活用で、効率よく栄養を取りましょう。生食は避け、加熱・冷凍などの安全対策も忘れずに[15, 16]。


【参考文献リスト】

  1. 文部科学省. 日本食品標準成分データベース(八訂)増補2023:魚介類/さんま/皮つき/生—一般成分(品目No.10173). Available from: https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=10_10173_7
  2. 文部科学省. 日本食品標準成分データベース(八訂)増補2023:魚介類/さんま/皮つき/生—脂肪酸(品目No.10173). Available from: https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=10_10173_7&MODE=4
  3. 文部科学省. 日本食品標準成分データベース(八訂)増補2023:魚介類/さんま/皮つき/焼き—一般成分(品目No.10174). Available from: https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=10_10174_7
  4. 文部科学省. 日本食品標準成分データベース(八訂)増補2023:魚介類/さんま/皮つき/焼き—脂肪酸(品目No.10174). Available from: https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=10_10174_7&MODE=4
  5. 文部科学省. 日本食品標準成分データベース(八訂)増補2023:魚介類/さんま/缶詰/味付—一般成分(品目No.10177). Available from: https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=10_10177_7
  6. 文部科学省. 日本食品標準成分データベース(八訂)増補2023:魚介類/さんま/缶詰/かば焼—一般成分(品目No.10178). Available from: https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=10_10178_7
  7. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版)各論:ビタミン(脂溶性ビタミン). 2024. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316466.pdf
  8. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版)各論:ビタミン(水溶性ビタミン). 2024. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316467.pdf
  9. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版)各論:たんぱく質. 2024. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316462.pdf
  10. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版)各論:脂質. 2024. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316463.pdf
  11. Abdelhamid AS, Brown TJ, Brainard JS, Biswas P, Thorpe GC, Moore HJ, et al. Omega-3 fatty acids for the primary and secondary prevention of cardiovascular disease. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2020;3(3):CD003177. https://doi.org/10.1002/14651858.CD003177.pub5
  12. Yokoyama M, Origasa H, Matsuzaki M, Matsuzawa Y, Saito Y, Ishikawa Y, et al. Effects of eicosapentaenoic acid on major coronary events (JELIS): a randomised open-label, blinded endpoint analysis. The Lancet. 2007;369(9567):1090–1098. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(07)60527-3
  13. Cheung LKY, Tomita H, Takemori T. Mechanisms of docosahexaenoic and eicosapentaenoic acid loss from Pacific saury and comparison of their retention rates after various cooking methods. Journal of Food Science. 2016;81(8):C1899–C1907. https://doi.org/10.1111/1750-3841.13367
  14. Kaneko K, Takayanagi F, Fukuuchi T, Yamaoka N, Yasuda M, Mawatari K-I, et al. Determination of total purine and purine base content of 80 food products to aid nutritional therapy for gout and hyperuricemia. Nucleosides, Nucleotides and Nucleic Acids. 2020;39(10–12):1449–1457. https://doi.org/10.1080/15257770.2020.1748197
  15. 厚生労働省. アニサキスによる食中毒を予防しましょう(一般向けページ). Available from: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html
  16. 厚生労働省. 目視で確認!鮮度を徹底!加熱・冷凍で予防!(事業者向けリーフレット). Available from: https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/anisakis/dl/leaflet.pdf
  17. Suh SW, Lim E, Burm S-Y, Lee H, Bae JB, Han JW, et al. The influence of n-3 polyunsaturated fatty acids on cognitive function in individuals without dementia: a systematic review and dose–response meta-analysis. BMC Medicine. 2024;22:109. https://doi.org/10.1186/s12916-024-03296-0
  18. Welty FK. Omega-3 fatty acids and cognitive function. Current Opinion in Lipidology. 2023;34(1):12–21. https://doi.org/10.1097/MOL.0000000000000862
  19. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版)各論:無機質(カルシウム). 2024. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316468.pdf
末岡 啓吾

末岡 啓吾

パーソナルトレーニングジム「PriGym」代表トレーナー。
博士(理学)・NSCA認定トレーナー・パワーリフティング元日本記録保持者。
科学と実践の両軸で、一人ひとりの成長を支えます。