近年、健康や美容への関心の高まりから、食材の持つ栄養価や機能性に注目が集まっています。
その中でも、里芋は、古くから日本で親しまれてきた食材ですが、実はダイエット、美肌、腸活など、様々な健康効果を持つことが近年明らかになってきました。
本記事では、里芋に含まれる栄養成分とその働きを科学的根拠に基づいて解説し、ダイエット、美肌、腸活にどのように役立つのかを詳しく紹介します。
里芋の栄養成分と健康効果
里芋には、健康に役立つ様々な栄養成分が豊富に含まれています。
特に注目すべきは、以下の3つの栄養素です。
食物繊維
里芋には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方がバランス良く含まれています。
- 水溶性食物繊維: グルコマンナンなど。血糖値の上昇を抑えたり、コレステロール値を下げたりする効果があります[1]。
- 不溶性食物繊維: セルロースなど。腸内環境を整え、便秘を解消する効果があります[2]。
100gあたりの里芋には、約3.0gの食物繊維が含まれています[3]。これは、ごぼう(約6.1g)やバナナ(約1.8g)に匹敵する量です。
ビタミン
里芋には、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEなどが含まれています。
- ビタミンB群: 糖質、脂質、タンパク質の代謝を助け、エネルギーを産生するのに役立ちます[4]。
- ビタミンC: 抗酸化作用があり、美肌効果や免疫力向上効果が期待できます[5]。
- ビタミンE: 血管や細胞を酸化から守り、老化防止に役立ちます[6]。
ミネラル
里芋には、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれています。
- カリウム: 体内の余分なナトリウムを排出する働きがあり、高血圧予防に効果的です[7]。
- カルシウム: 骨や歯を丈夫にするために必要な栄養素です[8]。
- マグネシウム: 筋肉や神経の働きを正常に保つために必要な栄養素です[9]。
これらの栄養成分が相乗効果を発揮することで、里芋は様々な健康効果をもたらします。
里芋とダイエット
里芋は、ダイエットにも効果的な食材です。
その理由は、以下の3点にあります。
- 低カロリー: 里芋は、100gあたり約70kcalと低カロリーです[3]。ご飯(約168kcal)やパン(約264kcal)と比べてカロリーが低いため、ダイエット中の主食の置き換えにもおすすめです。
- 食物繊維による満腹感: 里芋に豊富に含まれる食物繊維は、胃の中で水分を吸収して膨らむため、満腹感を得やすく、食べ過ぎを防ぐ効果があります。
- 血糖値上昇抑制効果: 水溶性食物繊維は、糖質の吸収を穏やかにし、食後の血糖値の急上昇を抑える効果があります[1]。血糖値の急上昇は、脂肪を蓄積しやすくする原因となるため、里芋を食べることで、脂肪の蓄積を防ぎ、太りにくい体作りに役立ちます。
さらに、里芋には、以下のようなダイエット効果も期待できます。
- 脂質代謝改善効果: 里芋に含まれるサポニンやポリフェノールなどの成分は、脂肪の分解を促進し、体外への排出を促す効果があることが報告されています[10]。サポニンは、胆汁酸の分泌を促進することでコレステロールの吸収を抑制し、ポリフェノールは抗酸化作用によって脂質の酸化を防ぎ、動脈硬化を予防する効果も期待できます。これらの成分の働きにより、里芋は中性脂肪やコレステロール値を下げ、肥満予防に貢献する可能性があります。
- むくみ解消効果: 里芋に含まれるカリウムは、体内の余分な水分を排出する働きがあり、むくみを解消する効果があります[7]。
里芋と美肌
里芋は、美肌効果も期待できる食材です。
その理由は、以下の2点にあります。
- 抗酸化作用: 里芋に含まれるビタミンCやビタミンEは、抗酸化作用があり、活性酸素による細胞のダメージを防ぎます[5, 6]。活性酸素は、シミやしわなどの肌老化の原因となるため、里芋を食べることで、肌の老化を防ぎ、美肌を保つ効果が期待できます。
- 腸内環境改善による美肌効果: 里芋に含まれる食物繊維は、腸内環境を整える効果があります[2]。腸内環境が整うと、肌のターンオーバーが促進され、肌荒れやニキビなどの肌トラブルを改善する効果が期待できます。
さらに、里芋には、以下のような美肌効果も期待できます。
- 皮膚の保湿効果: 里芋に含まれるムチンという成分には、皮膚の保湿効果があり、乾燥肌の改善に役立ちます[11]。ムチンは、糖タンパク質の一種で、高い保水力を持つことから、肌の潤いを保ち、乾燥を防ぐ効果が期待できます。また、ムチンは、細胞の保護や免疫機能の調節など、様々な生理機能に関与していることが知られています[14]。
ムチンについて、より詳しく知りたい方は、後日公開予定のムチンに関する記事をご覧ください。
- コラーゲン生成促進効果: 里芋に含まれるビタミンCは、コラーゲンの生成を促進する効果があります[5]。コラーゲンは、肌の弾力やハリを保つために必要な成分であるため、里芋を食べることで、肌の弾力やハリを維持し、若々しい肌を保つ効果が期待できます。
里芋と腸活
里芋は、腸活にも効果的な食材です。
その理由は、以下の2点にあります。
- 食物繊維による腸内環境改善効果: 里芋に豊富に含まれる食物繊維は、腸内細菌のエサとなり、腸内フローラを整える効果があります[2]。腸内フローラが整うと、便秘の解消や免疫力向上、美肌効果など、様々な健康効果が期待できます。
- 便秘解消効果: 里芋に含まれる不溶性食物繊維は、便のかさを増やし、腸の蠕動運動を促進することで、便秘を解消する効果があります[2]。
さらに、里芋には、以下のような腸活効果も期待できます。
- プレバイオティクス効果: 里芋に含まれる食物繊維は、プレバイオティクスとして働き、腸内善玉菌の増殖を促進する効果があります[12]。
- 腸内フローラの改善効果: 里芋を摂取することで、腸内フローラの多様性が高まり、腸内環境が改善されるという研究結果があります[15]。
これらの効果から、里芋は腸活に積極的に取り入れたい食材と言えるでしょう。
里芋のおいしい食べ方
里芋は、様々な方法で調理できますが、栄養を効率よく摂取し、それぞれの健康効果を最大限に引き出すためには、調理方法を工夫することが大切です。
ここでは、里芋を使った簡単レシピを、ダイエット、美肌、腸活など、目的別に紹介します。
ダイエットにおすすめ
里芋と鶏肉の煮物
里芋と鶏肉を一緒に煮込むことで、低カロリーで高タンパク質の料理になります。
鶏肉の旨味が里芋にしみ込み、ご飯が進む一品です。
材料
里芋、鶏もも肉、だし汁、醤油、みりん、砂糖、酒
作り方
- 里芋は皮をむいて一口大に切り、鶏肉は食べやすい大きさに切る。
- 鍋にだし汁、醤油、みりん、砂糖、酒を入れて煮立て、鶏肉を加えて煮る。
- 鶏肉に火が通ったら里芋を加え、落し蓋をして弱火で煮込む。
- 里芋が柔らかくなったら、火を止めて完成。
美肌におすすめ
里芋と鮭の味噌炒め
鮭には、美肌に良いとされるアスタキサンチンが豊富に含まれています。
里芋と鮭を味噌で炒めることで、ご飯にもお酒にも合う一品になります。
材料
里芋、鮭、味噌、酒、みりん、砂糖、サラダ油
作り方
- 里芋は皮をむいて一口大に切り、鮭は食べやすい大きさに切る。
- フライパンにサラダ油を熱し、里芋と鮭を炒める。
- 味噌、酒、みりん、砂糖を加えて味付けし、炒め合わせる。
- 器に盛り付け、お好みでネギやゴマを散らして完成。
腸活におすすめ
里芋と根菜のけんちん汁
複数の根菜を組み合わせることで、食物繊維を豊富に摂取できます。
里芋のほくほく感と、根菜のシャキシャキ感が楽しめる、体の温まる一品です。
材料
里芋、大根、にんじん、ごぼう、こんにゃく、豆腐、だし汁、味噌
作り方
- 里芋、大根、にんじん、ごぼうは皮をむいて食べやすい大きさに切る。こんにゃくは下茹でして食べやすい大きさに切る。豆腐は水切りしておく。
- 鍋にだし汁を入れて煮立て、里芋、大根、にんじん、ごぼう、こんにゃくを加えて煮る。
- 野菜が柔らかくなったら、豆腐と味噌を加えて味を調える。
- 器に盛り付け、お好みでネギや七味唐辛子を散らして完成。
その他のレシピ
里芋は、上記以外にも様々な料理に活用できます。
- 里芋の煮っころがし:里芋を甘辛く煮た、定番の和食料理です。
- 里芋の田楽:里芋に味噌を塗って焼いた、香ばしい一品です。
- 里芋のグラタン:里芋を使った、クリーミーなグラタンです。
ぜひ、色々なレシピに挑戦して、里芋の美味しさを楽しんでみてください。
里芋を調理する際のポイント
- 里芋は皮ごと食べることで、ポリフェノールなどの抗酸化物質を効率よく摂取できます[13]。皮のえぐみが気になる場合は、下茹でしてから調理しましょう。
- 里芋を煮物にすると、水溶性ビタミンが水に溶け出てしまいます。煮汁ごと食べることで、栄養素を逃さず摂取しましょう。
- 里芋を油で揚げると、ビタミンEなどの脂溶性ビタミンが効率よく吸収されます。
これらのポイントを踏まえ、里芋の栄養を最大限に活かした調理方法を選びましょう。
まとめ
里芋は、食物繊維、ビタミン、ミネラルなど、健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれた食材です。
ダイエット、美肌、腸活など、様々な効果が期待できるだけでなく、様々な料理に活用できるのも魅力です。
ぜひ、日々の食生活に里芋を取り入れて、健康的な毎日を送ってください。
- 参考文献