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ダイエット中なのに、なかなか体重が減らない… そんな悩みをお持ちのあなた。もしかしたら、 睡眠不足 が原因かもしれません。

睡眠不足は、食欲を増進させ、高カロリーな食品を欲するようになることが、様々な研究で明らかになっています。[1, 3, 5, 6]

この記事では、睡眠不足が食欲に与える影響とそのメカニズムを、ホルモン、脳、味覚、認知機能、ストレスの観点から科学的に解説します。

睡眠不足で太る理由を理解し、健康的な食生活と睡眠習慣を見直してみませんか?

睡眠不足の身体への影響

食欲調節ホルモンの変化

睡眠不足になると、食欲をコントロールするホルモンのバランスが乱れ、食欲が増進し、体重増加につながることが多くの研究で示唆されています。[6]

  • レプチン: 脂肪細胞から分泌されるホルモンで、脳の視床下部に作用して食欲を抑制し、エネルギー消費を増加させます。睡眠不足になると、このレプチンの分泌量が減少し、食欲が増加しやすくなります。
  • グレリン: 胃から分泌されるホルモンで、食欲を増進させる働きがあります。睡眠不足になると、グレリンの分泌量が増加し、空腹感が強くなります。[3]

これらのホルモンバランスの変化により、睡眠不足の人は過食になりやすく、特に高カロリーな食品や甘いものを欲する傾向があります。

脳の報酬系への影響

睡眠不足は、脳の報酬系に影響を与え、食べ物をより魅力的に感じさせる可能性があります。報酬系は、快楽や満足感を感じる脳の回路で、ドーパミンなどの神経伝達物質が関与しています。睡眠不足になると、ドーパミンに対する感受性が高まり、食べ物を摂取したときの満足感が増幅されるため、過食につながりやすくなります。[1]

また、睡眠不足は、前頭前皮質の活動を低下させます。前頭前皮質は、意思決定や衝動の抑制に関与する脳の領域です。前頭前皮質の活動が低下すると、衝動的な行動を抑制することが難しくなり、食べたいという欲求に負けやすくなります。

味覚の変化

睡眠不足は、味覚にも影響を与える可能性があります。研究によると、睡眠不足の人は、健康的な体重の個人であっても、不健康な食品に対する神経反応が増加することが示されています。[5] これは、睡眠不足が味覚受容体の感度を変化させ、高カロリーな食品への欲求を高め、過食につながる可能性を示唆しています。

認知機能の低下

睡眠不足は、注意力の低下、判断力の低下、記憶力の低下など、認知機能の低下を引き起こします。[2] 認知機能が低下すると、健康的な食事を選択することが難しくなり、衝動的な食事や不健康な食品の選択につながる可能性があります。

ストレスの増加

睡眠不足は、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を増加させます。[4] コルチゾールは、食欲を増進させ、脂肪の蓄積を促進する働きがあります。ストレス増加は、感情的な食事や過食につながる可能性があります。

睡眠不足が太る理由

これらのメカニズムが複合的に作用することで、睡眠不足は食事摂取に悪影響を与え、肥満や生活習慣病のリスクを高めます。

  • 食欲増進: 睡眠不足は、グレリンの増加やレプチンの減少などにより、食欲を増進させます。
  • 高カロリー食品への欲求: 睡眠不足は、脳の報酬系への影響や味覚の変化により、高カロリーな食品への欲求を高めます。
  • 衝動的な食事: 睡眠不足は、認知機能の低下やストレスの増加により、衝動的な食事や不健康な食品の選択を促します。

これらの結果、過食、高カロリーな食品の摂取、不健康な食事パターンの形成につながり、肥満や生活習慣病のリスクが高まります。

今日から変わる!睡眠不足による食欲増加を防ぐ方法

睡眠不足による食欲増加を抑え、健康的な食生活を維持するためには、以下の点に注意しましょう。

  • 睡眠時間を確保する: 毎日同じ時間に寝起きし、睡眠時間をしっかりと確保しましょう。寝る前にカフェインを摂取したり、スマホを長時間見たりすることは避け、リラックスできる環境を整えましょう。
  • 食生活を改善する: バランスの取れた食事を心がけましょう。食事はゆっくりと味わって食べ、腹八分目を意識しましょう。 また、睡眠の質を下げるような食事を避けることも重要です。例えば、寝る直前の食事や、脂肪分の多い食事は、消化に時間がかかり、睡眠を妨げる可能性があります。
  • ストレスを軽減する: ストレスは食欲増加に繋がるため、適度な運動や趣味、リラックスできる時間などを通じてストレスを解消しましょう。
  • その他: 睡眠不足や食欲に関する悩みは、一人で抱え込まずに、専門家に相談することも有効です。

これらの対策を全て完璧にこなす必要はありません。できることから始めて、少しでも睡眠不足と食生活を改善していきましょう。

まとめ

睡眠不足は、食欲調節ホルモンの変化、脳の報酬系への影響、味覚の変化、認知機能の低下、ストレス増加など、様々なメカニズムを介して食事摂取に悪影響を与え、肥満や生活習慣病のリスクを高める可能性があります。健康的な食生活を維持するためには、十分な睡眠をとることが重要です。

参考文献

  1. Greer, S. M., Goldstein, A. N., & Walker, M. P. (2013). The impact of sleep deprivation on food desire in the human brain. Nature communications , 4(1), 2259.
  2. Killgore, W. D. (2010). Effects of sleep deprivation on cognition. Progress in brain research , 185, 105-129.
  3. Schmid, S. M., Hallschmid, M., Jauch-Chara, K., Born, J., & Schultes, B. (2008). A single night of sleep deprivation increases ghrelin levels and feelings of hunger in normal-weight healthy men. Journal of sleep research , 17(3), 331-334.
  4. Spiegel, K., Leproult, R., & Van Cauter, E. (1999). Impact of sleep debt on metabolic and endocrine function. The Lancet , 354(9188), 1435-1439.
  5. St-Onge, M. P., McReynolds, A., Trivedi, Z. B., Roberts, A. L., Sy, M., & Hirsch, J. (2012). Sleep restriction increases the neuronal response to unhealthy food in normal-weight individuals. The American journal of clinical nutrition , 95(4), 926-932.
  6. Taheri, S., Lin, L., Austin, D., Young, T., & Mignot, E. (2004). Short sleep duration is associated with reduced leptin, elevated ghrelin, and increased body mass index. PLoS medicine , 1(3), e62.

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