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近年、ダイエットや健康法として注目を集めているファスティング(断食)

「ファスティングって実際どうなの?」「ダイエットに効果はあるの?」

このように、ファスティングに興味はあるものの、正しい情報が分からず、不安に感じている方もいるのではないでしょうか?

この記事では、ファスティングの効果やリスク、種類、注意点などを詳しく解説していきます。

ファスティングを正しく理解し、健康的なライフスタイルに役立てていきましょう。

ファスティングとは?

ファスティング(断食)とは、一定期間、固形物を摂取しないことで、消化器官を休ませ、体の機能を回復させる健康法です。

近年では、ダイエットや美容目的で行われることも多いですが、本来は健康増進や病気予防などを目的としたものでした。

ファスティングの種類

ファスティングには、様々な種類があります。

インターミッテントファスティング(断続的断食)は、近年注目されているファスティングの方法の一つです。

これは、一定期間の断食と食事を繰り返すことで、健康効果やダイエット効果を期待するものです。

代表的なインターミッテントファスティングには、以下の3つの種類があります。

それぞれの特徴を理解し、自分に合った方法を選びましょう。

16時間断食

1日のうち16時間は何も食べず、残りの8時間で食事を摂る方法です。インターミッテントファスティングの中でも、特に人気のある方法です。

  • 方法: 例えば、朝食を抜いて昼食と夕食を摂る、夕食を抜いて朝食と昼食を摂るという方法があります。 食事を摂る時間帯は、自分のライフスタイルに合わせて自由に設定できます。
  • メリット: 比較的取り組みやすく、初心者の方でも継続しやすいというメリットがあります。 また、空腹時間が短いため、空腹感を感じにくいのも特徴です。 16時間断食は、毎日継続して行うことで、より効果を実感することができます。
  • 注意点: 断食時間中は、水やお茶などのノンカロリー飲料を摂取するようにしましょう。 また、食事を摂る時間帯に、ドカ食いをしてしまわないように注意が必要です。

5:2ダイエット

週7日のうち連続しない2日間を超低カロリー日にするファスティング方法です。

  • 方法: カロリー制限日は、1日の摂取カロリーを500~600kcal程度に抑えます。 カロリー制限日以外の5日間は、特に食事制限はありません。
  • メリット: 週に2回だけカロリー制限を行うため、ストレスを感じにくいというメリットがあります。 また、カロリー制限日以外は自由に食事を楽しめるため、外食や旅行などの予定がある場合でも、 ファスティングを継続しやすいのが特徴です。
  • 注意点: カロリー制限日には、栄養バランスを意識した食事を摂るように心がけましょう。 また、カロリー制限日にドカ食いをしてしまわないように、注意が必要です。

隔日断食

1日おきに断食を行う方法です。

  • 方法: 断食日には、水やお茶などのノンカロリー飲料のみを摂取します。 断食日以外の日は、特に食事制限はありません。
  • メリット: ファスティングの中でも、より高い効果が期待できるというメリットがあります。 短期間で体重を減らしたい方に向いている方法です。
  • 注意点: 隔日断食は、長時間の空腹に耐える必要があり、低血糖や脱水症状などのリスクが高まる可能性があります。 また、隔日断食に関する信頼性の高い学術論文や公的機関の資料は、他のファスティングに比べて不足しており、十分な裏付けがあるとは言えません。 ファスティング初心者の方や、体力に自信がない方は、16時間断食や5:2ダイエットから始めることをおすすめします。

ここで注意しておきたいのは、2日以上連続して絶食する医学的に認められたファスティング法はないということです[3]。

連続した絶食は、低血糖や脱水症状、栄養不足などのリスクが高まる可能性があります。

絶食を行う際は、必ず1日以上の間隔を空け、体に負担をかけすぎないようにしましょう。

ファスティングで得られる効果

ファスティングを行うことで、様々な効果が期待できます。

ダイエット効果

ファスティングを行うことで、以下のダイエット効果が期待できます。

  1. 体重減量
    ファスティング中は、摂取カロリーが制限されるため、体重減量効果が期待できます[4]。 特に、短期間で体重を落としたい場合に効果的です。 体重減量の程度は、ファスティングの種類や期間、個人の体質などによって異なります。
  2. 体脂肪減少
    ファスティング中は、体がエネルギー源として体脂肪を分解するため、体脂肪減少効果も期待できます。 体脂肪が減少することで、見た目がスッキリするだけでなく、健康にも良い影響を与えます。
  3. 基礎代謝アップ
    ファスティングは、基礎代謝を上げる効果も期待できます。 基礎代謝が上がると、エネルギー消費量が増えるため、太りにくい体作りに繋がります。 基礎代謝の向上は、ファスティングによって成長ホルモンの分泌が促進されることなどが要因として考えられています。
  4. 食欲抑制効果
    ファスティングを行うことで、食欲を抑制する効果も期待できます。 これは、ファスティングによってレプチンというホルモンの分泌が促進されるためです[5]。 レプチンは、食欲を抑える働きを持つホルモンです。
  5. インスリン感受性向上
    インスリン感受性とは、インスリンが血糖値を下げる働きをする能力のことです。 ファスティングを行うことで、インスリン感受性が向上し、血糖値のコントロールが改善される効果が期待できます[6]。 インスリン感受性の向上は、糖尿病の予防にも繋がります。

これらの効果に加えて、ファスティングは、食生活を見直すきっかけにもなります。

ファスティングを経験することで、自分の食生活の乱れに気づき、健康的な食生活を意識するようになる方も多いようです。

ただし、ファスティングはあくまでもダイエットの補助的な手段であり、ファスティングだけで痩せることは難しいという点には注意が必要です。

健康的にダイエットを成功させるためには、ファスティングと並行して、バランスの取れた食事と適度な運動を継続することが重要です。

健康効果

  • オートファジー(細胞の自食作用)の活性化 [7]
  • 腸内環境改善 [8]
  • 生活習慣病予防

オートファジーとは、細胞が自らのタンパク質を分解して再利用する仕組みのことです。

ファスティングによってオートファジーが活性化すると、細胞内の老廃物が除去され、細胞の機能が回復する効果が期待できます。

また、ファスティングは、腸内環境を改善する効果も期待できます。

腸内環境が改善されると、便秘や下痢の改善、免疫力アップなどの効果が期待できます。

さらに、ファスティングは、生活習慣病の予防にも効果が期待できます。

ファスティングを行うことで、血糖値や血圧、コレステロール値などが改善されるという研究結果が出ています。

ファスティングのデメリットとリスク

ファスティングは、正しく行わなければ、体に悪影響を及ぼす可能性があります。

主なリスクとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 低血糖
  • 脱水症状
  • 栄養不足
  • 摂食障害
  • ドカ食い
  • リバウンド

特に、摂食障害やドカ食いは、精神的な健康に深刻な影響を与える可能性があります。

ファスティングを行う際は、これらのリスクを理解し、注意することが重要です。

長期ファスティングのデメリット

さらに、長期間のファスティングは、以下のようなデメリットをもたらす可能性があります。

  • 筋肉量の減少: 長期間のファスティングでは、エネルギー源として体脂肪だけでなく、筋肉も分解されてしまう可能性があります[9]。 筋肉量が減少すると、基礎代謝が低下し、太りやすい体質になる可能性があります。
  • ホルモンバランスの乱れ: 女性ホルモンの分泌量が減少し、月経不順や不妊症のリスクが高まる可能性があります[10]。 また、甲状腺ホルモンの分泌量も減少し、代謝が低下する可能性があります。
  • 骨密度の低下: 骨粗鬆症のリスクが高まる可能性があります[11]。 これは、ファスティングによってカルシウムの摂取量が不足し、骨からカルシウムが溶け出すためです。
  • 免疫力の低下: 栄養不足により、免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなる可能性があります。
  • 精神的なストレス: 食事を制限することによるストレスや、イライラ感が強くなる可能性があります。

ファスティングを行う上での注意点

ファスティングを行う際は、以下の点に注意しましょう。

  • ファスティング前の準備:
    • 断食期間に入る前に、徐々に食事量を減らしていく * ファスティングを始める2~3日前から、食事量を徐々に減らしていくようにしましょう。 いきなり食事量を減らすと、体がびっくりしてしまい、体調を崩してしまう可能性があります。 また、カフェインやアルコールの摂取量も減らすようにしましょう。
  • ファスティング中の過ごし方: 水分をこまめに摂取し、激しい運動は避ける
    • ファスティング中は、脱水症状にならないように、こまめに水分を摂取しましょう。 水やお茶など、ノンカロリーの飲み物を1日2リットルを目安に飲むように心がけましょう。 また、激しい運動は避け、軽い運動やストレッチなどを行うようにしましょう。 体調が悪いと感じた場合は、無理せずファスティングを中止しましょう。

  • ファスティング後の回復食: 消化の良いものを少しずつ食べる
    • ファスティング後は、胃腸が弱っているため、消化の良いものを少しずつ食べるようにしましょう。 おかゆやスープ、野菜などを中心に、徐々に食事量を増やしていくようにしましょう。 また、脂っこいものや刺激の強いものは避けましょう。

  • 妊娠中・授乳中の方、持病のある方はファスティングを避ける
    • 妊娠中や授乳中の方は、ファスティングを行うことで、胎児や乳児の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、持病のある方も、ファスティングを行うことで、体調を悪化させてしまう可能性があります。 これらの場合は、ファスティングを行う前に、必ず医師に相談するようにしましょう。

  • ファスティングの期間: ファスティングを行う期間は、個人の体質や目的によって異なりますが、一般的には1~3日程度が良いでしょう[12]。
    • 初めてファスティングを行う場合は、1日程度の短期間から始めることをおすすめします。 慣れてきたら、徐々に期間を延ばしていくようにしましょう。 3日以上のファスティングを行う場合は、必ず医師に相談するようにしましょう。

  • 専門家への相談: ファスティングを行う際は、必ず専門家に相談するようにしましょう。
    • 専門家には、医師や管理栄養士などがいます。 自分の体質や健康状態に合ったファスティング方法や、注意点などを教えてもらうことができます。 また、ファスティング中に体調不良を感じた場合は、すぐに相談するようにしましょう。

まとめ

この記事では、ファスティングの効果やリスク、種類、注意点などを解説しました。

ファスティングは、正しく行えば健康に役立つ可能性がありますが、リスクも伴います。

安易な自己流ファスティングは避け、安全に行うように心がけましょう。

参考文献

  1. Harvie MN, Pegington M, Mattson MP, Frystyk J, Dillon B, Evans G, et al. The effects of intermittent or continuous energy restriction on weight loss and metabolic disease risk markers: a randomized trial in young overweight women. Int J Obes (Lond). 2011 May;35(5):714-27. doi: 10.1038/ijo.2010.204.
  2. Mattson MP, Longo VD, Harvie M. Impact of intermittent fasting on health and disease processes. Ageing Res Rev. 2017 Oct;39:46-58. doi: 10.1016/j.arr.2016.10.005.
  3. Antoni R, Johnston KL, Collins AL, Robertson MD. Effects of intermittent fasting on glucose and lipid metabolism. Proc Nutr Soc. 2017 Aug;76(3):361-368. doi: 10.1017/S002966511700013X.
  4. Rynders CA, Thomas EA, Zaman A, Pan Z, Catenacci VA, Melanson EL. Effectiveness of Intermittent Fasting and Time-Restricted Feeding Compared to Continuous Energy Restriction for Weight Loss. Nutrients. 2019 Oct 28;11(11):2442. doi: 10.3390/nu11112442.
  5. Heilbronn LK, Smith SR, Martin CK, Anton SD, Ravussin E. Alternate-day fasting in nonobese subjects: effects on body weight, body composition, and energy metabolism. Am J Clin Nutr. 2005 Jan;81(1):69-73. doi: 10.1093/ajcn/81.1.69.
  6. Halberg N, Henriksen M, Söderhamn N, Stallknecht B, Ploug T, Schjerling P, et al. Effect of intermittent fasting and refeeding on insulin action in healthy men. J Appl Physiol (1985). 2005 Dec;99(6):2128-36. doi: 10.1152/japplphysiol.00680.2005.
  7. Alirezaei M, Kemball CC, Flynn CT, Wood MR, Whitton JL, Kiosses WB. Short-term fasting induces profound neuronal autophagy. Autophagy. 2010 Aug;6(6):702-10. doi: 10.4161/auto.6.6.12376.
  8. Catterson JH, Khericha M, Dyson MC, Vincent AJ, Callard R, Haveron SM, et al. Short-Term, Intermittent Fasting Induces Long-Lasting Gut Health and TOR-Independent Lifespan Extension. Curr Biol. 2018 Jun 4;28(11):1714-1724.e4. doi: 10.1016/j.cub.2018.04.015.
  9. Pasiakos SM, Cao JJ, Margolis LM, Sauter ER, Whigham LD, McClung JP, et al. Effects of high-protein diets on fat-free mass and muscle protein synthesis following weight loss: a randomized controlled trial. FASEB J. 2013 Sep;27(9):3837-47. doi: 10.1096/fj.13-230227.
  10. Meczekalski B, Podfigurna-Stopa A, Warenik-Szymankiewicz A, Genazzani AD. Functional hypothalamic amenorrhea: current view on neuroendocrine aberrations. Gynecol Endocrinol. 2014 Dec;30(12):855-62. doi: 10.3109/09513590.2014.940976.
  11. Haghighatdoost F, Kolahdooz F, Abdi K, Azadbakht L. The effect of calcium supplementation on bone mineral density in postmenopausal women: a systematic review and meta-analysis. J Res Med Sci. 2013 May;18(5):408-18.
  12. Varady KA. Intermittent versus daily calorie restriction: which diet regimen is more effective for weight loss?. Obes Rev. 2011 Jul;12(7):e593-601. doi: 10.1111/j.1467-789X.2011.00873.x.

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